ご挨拶

生きにくい社会と家族介護の限界

 日本は経済大国から長寿大国へと移り変わってきました。バブル期に作られたのは弱肉強食の社会で、高齢者や子供、障害者には生きにくい世界になりました。そして長生きする時代になり、地域で支え合う関係を再構築しなければ家族だけでは支えきれなくなってきています。

 寝たきりや認知症の話題は、マスコミに登場するようになりました。介護保険制度が導入されてから国民の意識が変化したからです。しかし、要介護者を表に出したくないという偏った恥の文化が日本人の根底にはあり、身体的・精神的に限界を超えても家族だけで介護している現実が多く見受けられます。行政に頼りたくないと言う心情には、一つには「やってあげる」という措置制度に抵抗があったからです。

グループホームでは「ぼけても普通に生きられる」

 介護保険は事業者との契約であり、自分で介護保険サービスを選ぶことが出来る制度です。介護保険サービスは在宅と施設に分かれています。これまでの制度にはなく、介護保険の目玉として登場したのが認知症高齢者のグループホームです。

 グループホームは「認知症対応型共同生活介護」というように、365日をスタッフと一緒に暮らす「自宅ではない在宅」です。認知症になったら何もできない、人に迷惑をかけるなどのマイナスイメージが先行していましたがスウェーデンで始まった普通の見慣れた一軒家(=グループホーム)での生活によって、認知症の症状が和らぎ、普通にその人らしく暮らしてゆけることがわかりました。「ゆっくり」「一緒に」「楽しむ」ことをモットーとしながらスタッフと家族のような関係で暮らす中で、自分に出来ることはやってもらうということもグループホームの特徴です。生活の中で役割や出番があることはその人を認める大切なことなのです。

 共同生活の中で欠かせないのは、地域の方々との交流です。グループホームから外へと生活の場を広げていくことはグループホームの密室化を避けると同時に、認知症の方々の生活圏を広げ、近隣の方々の顔が見えることで豊かな感性が生まれます。いつ、誰が寝たきりになったり認知症になったりするかわかりません。長生きすることは自分の問題でもあります。「お互い様」という気持ちで、地域で支え合いの関係を構築して行きたいと思います。

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